香港IPOに申し込む際にこれだけは最低限チェックしているという項目について紹介したいと思います。
財務状況などを細かくチェックすることも重要ですが、まずは、ざっくりと値上がりしそうかどうかの判断として以下のようなチェックを行なっています。
発行価格が安いかどうか
下のグラフは発行価格(Offer Price)と値上がり率(Price Change)をプロットしたものです。
縦軸が値上がり率、横軸が発行価格(上場日のスタート価格)です。
ちなみに、値上がり率は上場日の最高値でプロットしています。
縦軸が対数となっていて分かりにくいですが、
0.1・・・値上がり率 +10%
1・・・値上がり率 +100%
という意味です。
例外もありますが、発行価格が安いほど値上がりしやすい傾向にあることが分かります。
また、グラフの左側(1HKDあたり)にプロットが集中しているので、この価格帯でスタートするIPOが比較的多いと言えます。
発行株数が少ないかどうか
次のグラフは、希少性(Rarity)と値上がり率をプロットしたものです。
希少性については、
香港市場に出回るIPO発行株数(Offer Shares)を最低購入単位(Board Lot)で割った値で定義しています。
この値が小さいほど希少性が高く、需給バランスの面から上場日にプレミアム価格がつきやすくなる傾向にあります。
また、先ほど述べた発行価格よりも希少性の方が、より上昇率に強く影響する傾向にあります。
例えば、発行価格が安くても希少性が高くなければ大きな値上がりはしにくい傾向にあります。
どのような業種か
次のグラフは、業種別のIPO件数と値上がり率のグラフです(執筆時点のデータであり最新傾向とは異なる場合がありますのでご了承ください)。
業種ごとにIPO件数を棒グラフで、値上がり率(平均値)を折れ線グラフで表示しています。
こちらについては、まだデータの数が十分ではないため、はっきりとしたことが言えない状況ですが、
例えば「Construction & Decoration(建築業界)」は比較的IPO件数が多く、安定して値上がりが期待できる業種と言えそうです。
一方、「Securities(証券業界)」については逆に、値上がりしにくい傾向にあると思います。これは投資大国の香港で業種が飽和傾向にあるのかもしれません。
値上がり率が50%を超える業種もいくつかありますが、記録データを取り始めてからのIPO件数が1-2件と少ない業種であるため、安定して値上がりが期待できるかどうかはまだ判断できない状況です。
業界が活況、あるいは飽和しているなどの情報をモニタリングしながら判断していくことが求められると言えます。
まとめ
これらの点だけで判断できる訳ではありませんが、IPOを申し込む際にまずチェックしている項目として紹介しました。
この他にも、IPOのスポンサー証券会社がどこか(証券会社によって初日の値上がり成績がいいところ、悪いところの傾向があります)、財務状況のチェック、市況など複数の視点を加えて予測精度を上げていく必要があります。